原材料高騰や人手不足が続く中、飲食店に求められているのは、やはり外食でしか得られない”新しい満足感”。本記事は、名古屋・東海エリアの飲食店経営者や、これから新しいメニューづくりを考えている方に向けて、業務用酒食品卸・マルト水谷が開催する「フードナビ2026」の背景をお伝えするインタビュー記事です。
「外食ならではの追求 ~新しい満足感の創造~」というコンセプトに込めた想いと、
シンなごやめし/和×アジア/TEXTURE(食感)/匠仕立てという4つのテーマが生まれた背景を紹介します。
フードナビ2026開催日は、2026年4月8日(水)9日(木)です。
今年は、吹上ホールのアジア競技大会の影響で、開催月と曜日が例年と異なるのでご注意ください。
フードナビ2026のコンセプト
「外食ならではの追求」とは?飲食店に求められる新しい満足感
――今年のフードナビのコンセプトに込めた想い・背景を教えてください。
外食費は前年対比で約103%、外食産業全体も同じく103%と伸びています。
でも、帝国データバンクによると世の中の値上げ比率は15%。
単純に計算すると、『その差分はどこにいったのか?』という疑問が生まれますよね。
様々な理由が考えられますが、大きな要因の一つが「飲食店がその値上げ分を吸収している」という現実。
その結果、飲食店の倒産件数が過去最高になっています。
飲食店にとって、値上げは決して簡単なことではありません。
私自身も営業をしていた時代があるから実際のお店を思い浮かべるんですが
「同じものを、値上げする」難しさはよくわかります。
となると新しいメニューをつくっていく必要があると感じました。
その新メニューが美味しいねって言われて、「また来たい」と思ってもらえる流れをつくる必要があると考えています。
そうした背景から、
”外食ならではの追求 ~新しい満足感の創造 ~ これを今年のコンセプトとしました。
フードナビの4つのテーマは、何を参考にして生まれているのか
――今年のテーマは何を参考にされたのですか?
毎年のことですが、最も参考にしているのは、日本経済新聞社が発行している、消費・流通・マーケティングに特化した専門紙「日経MJ」です。
過去1年分の日経MJの新聞記事を読み込み、KJ法を用いて情報を整理していきます。

(写真は、1年分の日経MJ記事のほんの一部です)
また最近では、料理動画のデリッシュキッチンとかレシピサイトのクックパッドなども見るようにしています。
「家庭向けでは?」と思われるかもしれませんが、こうしたサービスはトレンドに敏感な人たちが多く利用しており、意外といいアイディアが見つかったり、次に来るトレンドが隠れていることもあると感じています。
フードナビ2026・4つのテーマはどのように生まれたのか
――4つのテーマが生まれた背景を教えてください。
▼シンなごやめし|名古屋発・新しい飲食店メニューとしての可能性

名古屋ってよく「観光資源が少ない」と言われがちだけど
”なごやめし”という言葉は認知度が高く、みんな知ってる。
さらに、今年はアジア競技大会の大会も控えていて、愛知県・名古屋を訪れる人の数は確実に増える。
その中で『新しいなごやめし』があれば、それ自体が来店動機になるんではないかと考えました。
なごやめしの魅力は、そのバリエーションの豊富さ。
汎用性がある提案で、たくさんのお店で取り入れられれば、それが新しい名古屋名物になっていく可能性もあると考えています。そんな期待を込めたテーマです。
▼和アジア|居酒屋でも取り入れやすい、和をベースにしたアジアテイスト

新聞記事を見ていると、かつて多く見られた「アジアフェア」という切り口の記事は、以前ほど目立たなくなってきています。
一方で、麻辣湯(マーラータン)をはじめとした、中国・韓国・台湾系のメニューは、爆発的な人気を見せています。
これは、アジア系メニューが“流行”ではなく、すでに日常に定着してきている段階に入ったということなのかもしれません。実際、コンビニや食品ショップを見ても「アジアフェア」は継続的に行われていて、
「アジア」というキーワードが日常に溶け込んでいると感じました。
同時によく見かけたのが”原点回帰”としての和食の再評価。
和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されてから、和食が見直されてて海外でも日本食の人気は高まり続けています。抹茶や味噌・醤油などの発酵食品の輸出量も増加傾向です。
それらをヒントに”新しい満足感の創造”のために考えたのが、『和とアジアの融合』。
実際、東京で今すごく注目されているのが”中華風立ち飲み屋”。つまり、アジア系のテイストを入れた料理が受け入れられてる。
ポイントは「あくまでも和をベースに、アジアのテイストを取り入れる」こと。
日本人にとっては、やはり和の要素がベースにあるほうが、業態を問わずなじみやすく、注文しやすいと考えています。定番メニューにアジアのエッセンスを加えるようなイメージです。
▼TEXTURE(食感)|飲食店メニューに“体験価値”を生む、食感という切り口

このテーマは、KJ法で情報を整理していく中で、「食感」というキーワードが、ひときわ目立っていたことがきっかけでした。
日経MJの記事だけでなく、デリッシュキッチンやクックパッドを見ても、生ドーナツやりんご飴など、“食感が印象に残る商品”が多く取り上げられている。
さらに調べていくと、アメリカでは「次に流行る食感」として“クランチー”が注目されているという記事もありました。アメリカではサクサクとした食感が好まれる傾向があるそうです。
こうした流れと並行して、商品開発にAIを活用する事例が急速に増えています。
AIを使ってトレンド分析やアイデア創出を行う動きは、世の中に広がりつつあるようです。
そこで、「食感」というキーワードを、飲食店のメニュー提案にどう生かせるのか。
発想を広げるためのひとつの手段として、AIにもヒントを求めてみました。
ただし、AIはあくまで壁打ち役。そこから得られた視点を参考に
”食感”という切り口をどう生かすかを検討し、テーマとして整理していきました。
感度の高い飲食店では、味だけでなく、食感を重視したメニューづくりが取り入れ始めているケースも見られます。
これまでフードナビではあまり取り上げてこなかった切り口でもあり、だからこそ飲食店で広がっていく可能性がある。そう考えて、今年のテーマのひとつに設定しました。
▼匠仕立て|原料の「こだわり」を伝え、選ばれるメニューを目指す

このテーマは、先にお話しした「和」や「なごやめし」、そして「原点回帰」の要素が重なって出来ています。
近年、だしの専門店や、久世福商店のような基礎調味料に特化したブランドが支持を集めています。
消費者が、日常使いの調味料であっても「少しこだわったものなら、価格が高くても選ぶ」という価値観を持ち始めていると感じています。
こうした流れは、飲食店においても十分に受け入れられると考えていますし、実際にマルト水谷が取り扱う商品の中にも、こだわりを持って作られた調味料や原材料で、継続的に選ばれている商品があります。
こだわりの商品が持つ背景やストーリーを、メニューに付加価値として付けることで、お客様にとっても選ぶ理由が生まれ「それなら一度食べてみたい!」という注文動機につながるのではないかと考えています。
そんな商品やメニュー提案を目指すテーマが、「匠仕立て」です。
テーマを決める過程で、大切にしている考え方とは
――テーマ決定の過程で、ボツになった案はありますか?
ボツになった・・・か(笑)
なんだろう・・・「これは違うな」って思った時点で考えるの辞めちゃうからな・・・
ボツとは少し違うかもしれないけど、KJ法で考えているので、いろんな記事や情報を集めて、集めて、集めて・・・。これかな?って思ったときに、いらないのを剝いでいくって感じかな。
例えば、TEXTURE(食感)の検討時には、形状を変える?エスプーマ?音?など様々な切り口が出てきて、
それらを含めて「TEXTURE」という言葉に集約されていく…そんなプロセスで考えています。
フードナビが目指す姿とは
――テーマが決まって、各担当者が動き出していますが、どんな役割を期待していますか?
フードナビは、提案したことが飲食店の参考になり、実際に取り入れていただき、来店し、注文してくれたお客様が「美味しい」と喜んでくれる。
その結果として、飲食店さんが繁盛する状態作り出す。この姿を目指しています。
先日、昔担当していたお店をたまたま訪れた際、過去のフードナビで紹介したメニューが今もメニューに取り入れられているのを見ました。
単純に嬉しかったですね。自分たちの提案したものが、現場に届いていると実感できた瞬間でした。そういうお店が多くなればなるほど広がっていくと思っています。
これからテーマを作り上げていくメンバーにも、ぜひそんな気持ちで取り組んでもらえたらなと思っています。
――と、ちょっと真面目に語ってみました(笑)

今回は、フードナビ2026のコンセプトと、4つのテーマが生まれた背景をお伝えしました。
次回以降は、各テーマブースを実際に取材し、ブースメンバーの意気込みや、テーマを作り上げていく過程を、現場の声を交えながら掘り下げていきます。
コンセプトが、どのように「形」になっていくのか。
そんなプロセスにも注目しながら、お届けしていく予定です。ぜひご期待ください。
▼FOODNAVI2026 公式HPはこちら